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月別アーカイブ: 2025年10月

ペイントドクターのよもやま話~鉄部・金属部と錆対策~

皆さんこんにちは! ペイントドクター、更新担当の中西です。

 

錆は“結果”ではなく“現象”。 水分・酸素・塩分・電位差——条件がそろうと、金属は必ず錆びます。だからこそ、現象を断つ設計と素地調整→防錆→上塗の三層ロジックが王道。今回は“端部・小口・重なり・ビス頭”という錆の起点に狙いを定め、長寿命化の実務を徹底解説します。

 

1. 錆の科学と環境要因
酸素+水:結露や雨水滞留で酸化反応が加速。
塩分(海塩粒子):沿岸・潮風は電解質を供給し続ける。
電位差(異種金属接触):銅×亜鉛/アルミ、ステンレス×普通鋼などで電食が起きやすい。
微細な“傷・角・切断面”:エッジ部は膜厚不足→局所腐食の震源地。
原則:水を溜めない形状×電位差を絶つ絶縁×膜厚を角で稼ぐ。この三位一体で錆は遅らせられます。

 

2. 錆のタイプと見分け方
赤錆:鉄の酸化。粉状→進行すると層状剥離。
白錆:亜鉛めっき部に発生。アルカリ性水分や滞水で多発。
糸錆/斑点錆:塗膜下を細く進行。素地調整不足のサイン。
もらい錆:近接金属くず・鉄粉が原因。洗浄・ケレンで除去。

 

3. 素地調整(ケレン)と脱脂
目標:健全部露出+粗さ(アンカー)+油分ゼロ。
手順:
脱脂(シンナー/アルカリ洗剤→水洗い→乾燥)
錆落とし(スクレーパー/ワイヤーブラシ/電動サンダー)。深錆は素地金属まで戻す。
研磨番手:#80→#120→#180でならす。角は面取りして上塗の食いつきを上げる。
ダスト除去:ブロワ&ウエス。手脂も敵。
程度の目安:重度→動力工具中心/軽度→手工具+変性防錆材併用。※穴あき・減肉は交換が原則。塗りでの延命は限定的。

 

4. 端部・小口・溶接・ビス頭—“ストライプ塗り”
先行タッチアップ:切断小口・角・ビス頭・リベット周りを先に1〜2回塗る(ストライプ)。
エッジシーラー:鋭角エッジは塗膜が薄くなるためエッジ厚付け材や高粘度塗装で補う。
溶接ビード:スパッタ・スラグを除去し、ピンホールを充填してから下塗へ。

 

5. 防錆下塗の選定
エポキシ防錆(2液):密着・遮断性◎。鉄部の標準解。
亜鉛リッチ(ジンクリッチ):犠牲防食で切断面やボルトに強い。上塗との適合と乾燥に注意。
メッキ対応プライマー:ガルバ/溶融亜鉛めっき面に必須。白錆の再発抑制。
変性防錆材:軽微錆での転化・封じ込めに有効。ただし厚膜防錆の代替ではない。

 

6. 上塗の考え方(耐候×柔靭×低汚染)
ウレタン/シリコン:付帯部の標準。柔靭性と作業性のバランス。
フッ素/無機:沿岸・日射強なら投資価値大。端部の厚みを確保して真価を引き出す。✨
艶:3〜7分艶でラインの歪みが目立ちにくい。金属は艶ありで防汚性UPも。

 

7. 異種金属接触と電食対策 ⚡
絶縁:ステンレス部品と鉄部の接触には樹脂ワッシャ/テープを介在。
銅樋×亜鉛:雨水経路で触れると亜鉛側が犠牲に。絶縁+排水設計で回避。
アース/漏電:設備絡みは電気的問題も疑う。専門連携。

 

8. 雨仕舞と形状の最適化
重ね代と水切りを設け、毛細管逆流を断つ。
水平面や袋小路は滞水しやすい→R処理や排水穴で水抜き。
シーリングは二次防水。まず板金的に一次を整える。

 

9. 膜厚管理と気象判定 
WFT/DFT:ウェット膜厚をコームゲージで測定→乾燥率でDFT推定。角・端部は厚み不足に要注意。
露点差≥3℃/湿度≤85%/強風・降雨NG。低温多湿は白化のリスク。

 

10. 施工フロー(標準)
洗浄→乾燥→脱脂→ケレン→研磨→ダスト除去
先行タッチアップ(ストライプ)
防錆下塗(エポキシ/ジンクリッチ/メッキ対応)
乾燥→軽研磨(層間密着)
中塗→上塗(必要に応じ高膜厚)
端部・ビス頭の最終タッチアップ→完了検査

 

11. トラブルシュート ‍
早期剥離:脱脂不良・露点ミス・プライマー不適合。→原因面まで戻し再塗装。
膨れ(ブリスター):滞水・素地含水・塩分。→排水改善+素地再調整。
再発錆:角・小口の膜厚不足。→エッジ厚付とストライプ増回。

 

12. 点検・保守 ⏳
2〜3年ごとに端部・ビス頭を重点点検。早期にタッチアップすれば寿命は伸びる。
沿岸は年1回の水洗いで塩だまりを除去。
次回(第5回)は屋根塗装の勝ち筋。スレートの縁切り、棟板金のビス打替え、金属屋根の白錆対処、そして遮熱の期待値まで、一気に攻略します。☀️

 

 

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ご相談いつでも大歓迎

外壁、基礎、水切りのすべてを塗装したところの写真です。非常に美しく、新築のような輝きを放っています。塗装は美観も耐候性も高められるリフォームです。機能性を増やすことは難しいですが、お家を長持ちさせるためには必要不可欠なリフォームになります。

壁を触ったときに手が汚れたり、塗料が膨れ上がっていたりする場合は早めにプロに診断してもらってください。塗装は適切な時期にすることでお家をきちんとお守りできます。

ワンランク上の塗装

透明塗料を使いタイル調のサイディングの持ち味をそのままに、耐光性を高めるクリヤー塗装です。無彩色での塗装のため建材がもつ本来の美しさを存分に発揮できます。

しかし誰が塗っても、きれいに仕上がるというわけではありません。塗りむらがあると艶感が異なったり、耐光性に違いがでたりとトラブルの元になります。職人が魂を込め塗装することで初めてお家を長く守っていける最高の塗装ができます!

弊社はワンランク上の職人が集う施工店と自負しております。まずはお気軽にご相談ください。いつでもお待ちしております。

防水だけの工事も遠慮なく

ベランダの防水も塗装店の仕事の一つです。水はけが悪くなったり、コケや藻が発生しているベランダは防水層が劣化している可能性が極めて高い状態です。塗装は建築業の中では大規模な工事ではありません。

塗装で早め早めにケアすることで工事費用を抑えつつお家を守ることが可能です。ベランダ防水だけの小さな工事も引き受けておりますのご遠慮せずご相談ください。いつでもお待ちしております。

下地を調整してから塗装

塗装をする際には必ず下地調整に時間を割きます。塗装は言わば塗るだけでの工事です。建物そのものにひび割れや欠けがあると、塗装しても不具合が起きる可能性が高いです。そこで塗装する前に樹脂を使ってひび割れをカバーしたり、欠けた部分を取り替えたりしてから塗装を行っています。

当たり前の作業ですが、塗装後は見えなくなる部分。どうせ見えなくなるからではなく見えなくなるからこそきちんと手入れをしていくことが大切です。

ペイントドクターのよもやま話~素材別・外壁塗装AtoZ 🧱~

皆さんこんにちは! ペイントドクター、更新担当の中西です。

 

素材の個性に合わせれば、寿命は伸びる。 モルタル、窯業系サイディング、ALC、タイル、金属、RC、木質。同じ塗料を同じように塗ると失敗します。素材ごとの“弱点”に刺さる下地・仕様・メンテを、現場視点でまとめました。🧠

 

1. モルタル(湿式)
特徴:厚みと質感が魅力。ひび/吸い込みが課題。
劣化:ヘアクラック、浮き、白華。雨筋汚れ。
下地:Vカット→樹脂モルタル→肌合わせ。浸透シーラー→微弾性フィラーでクラック追従。
仕上:ラジカル〜無機。低汚染で雨筋抑制。

 

2. 窯業系サイディング(乾式)
特徴:目地とシーリングが寿命のボトルネック。
劣化:目地割れ、チョーキング、反り、釘浮き。
下地:打替えが基本。サッシ回りは条件で増し打ち。反りはビス固定→面出し。
仕上:単色→ラジカル/フッ素。意匠(多色)はクリヤを退色前に。

 

3. ALC(軽量気泡コンクリート)
特徴:透湿・吸水しやすい。シールと防水が肝。
劣化:ひび、白華、目地破断。
下地:含水管理しつつ打替え。厚付フィラーで巣穴を埋める。
仕上:透湿性のあるシステム。微弾性で追従。

 

4. タイル(貼り)
特徴:高耐久だが浮き/目地が要注意。
劣化:エフロ、目地割れ、タイル浮き。
下地:打診で浮きを特定→エポキシピンニング/張替。薬品洗浄→中和→十分な水洗い。
仕上:基本はクリヤ/撥水で風合保持。塗りつぶしは下地の健全性が前提。

 

5. 金属(ガルバ/カラー鋼板/トタン)
特徴:端部・小口・重なりが弱点。電食注意。
劣化:白錆→赤錆、剥離、ビス浮き。
下地:ケレンで健全面露出→エポキシ防錆/亜鉛リッチ。切断面/ビス頭は先行タッチアップ。
仕上:フッ素/無機の高耐候。沿岸は厚膜と低汚染をセットで。

 

6. RC(打放し・塗装下地)
特徴:中性化・ひび・漏水の管理が肝。
劣化:白華、鉄筋腐食、ジャンカ。
下地:中性化深度を見て断面修復。止水→フィラー→仕上。
仕上:意匠ならクリヤ+撥水、保護なら高耐候塗膜で雨筋抑制。

 

7. 木質(外装・軒天・破風など)
特徴:含水変動で伸縮。木口から吸水。
劣化:退色、割れ、カビ。
下地:含浸防腐→木口止水→研磨。
仕上:**浸透(短期更新)か造膜(長期)**を使い分け。

 

8. ベースとなる判断フロー 🧭
素材特定→2) 劣化の種類→3) 雨の動線→4) 下地整備→5) 仕上グレード→6) メンテ計画。

 

9. 失敗事例あるある&学び 😓
意匠サイディングに色塗り→風合消失→後悔。クリヤの期限を守る。
ALCに高緻密塗膜→含水で膨れ。透湿性を優先。
金属へ水性下塗の誤適用→剥離。エポキシ防錆を基本に。

 

10. まとめ ✅
次回は金属部と錆対策(第4回)。端部・小口・重なり——“錆の起点”をつぶす具体策を徹底解説。⚙️🛡️

 

 

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小さな塗装工事も大歓迎

お家全体だけではなく塀だけという小さな塗装工事の依頼、お見積りも歓迎です。塗装は美観を整え、長持ちさせるための工事。塀の美観もお家にとって重要な要素になります。

例えばご紹介させていただいている上記の写真では、外壁塗装と同じように上塗りのコーティング剤を使い期待耐用を10年引き延ばす長持ち施工です。きれいな状態が長く続くように魂を込め塗装致します。

長持ちする塗装工事をお届けするために

長持ちするにはどうしたらいいのだろう。

代表ら職人の日々の研鑽から生まれたのが、弊社自慢の合計4回にもなる分厚い塗装です。下塗りを2回しっかり入れたり、上塗りの上に上塗りを守るためのコーティング剤をいれることで分厚い塗膜ができます。

分厚いと摩耗や劣化にに強くなり長持ちしますが、剥がれやひび割れなどのリスクも。弊社は日々の研究や塗装の工程などきちんと考え最適な塗装、厚みにすることでリスクを低減し丈夫な塗り替えを実現いたしました。

何を塗るのかも大切ですが、誰が、どう塗るのか。これも大切に追求し続けて参ります。

防水工事もお任せ

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